老北京の胡同(フートン)

――開発と喪失、ささやかな抵抗の記録――

多田麻美 著 写真:張全
四六判上製 276頁+カラー口絵16頁
定価:2,200円(本体2,000円)
978-4-7949-6867-8 C0095〔2015年1月〕


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開発により消えつつある胡同を追った、15年間の記録

政治体制が違っていても、人の暮らしに必要なものは変わらない。暖かい家と食事、そして心を許せる友だち。胡同はそんな庶民の暮らしを何百年も支えてきた。いま、急激な開発で、その胡同が消えようとしている。当局をかわしながら、抵抗し、保存を願う人もいる。一つの町が消えるときに、何が失われ、何が残るのだろう。北京の市井の人々は、どんな風に日々を暮らし、この変化を乗り切っているのだろうか。北京の町の路地(胡同)に魅せられ、胡同に暮らしてきた著者が、かろうじて残る街角の遺跡、物売り、地名、伝説、食、骨董……現在の北京の人々の様子を活写する。

〈書評・パブ掲載〉
週刊金曜日 2015.5.22号(評者:麻生晴一郎さん〈フリーライター〉)
しんぶん赤旗 2015.5.3 (評者:加藤三由紀さん〈和光大学教授〉)
WORLD 2015.5月号
読売新聞 2015.4.26
日経ビジネスオンライン 2015.4.15
京都新聞 2015.3.29
聖教新聞 2015.3.28
信濃毎日新聞 2015.3.22
朝日新聞 2015.3.22(評者:隈研吾さん)
週刊文春 2015.3.26号(評者:沢野ひとしさん)
Science Portal China 2015.2.26
東京新聞夕刊 2015.2.18
毎日新聞webニュース 2015.2.3

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【目次】

はじめに

1部 胡同が消える――開発の光と影

第1章 止まらぬ破壊
1、立ち退きに抗する人々
2、消えゆく胡同ネットワーク
3、「自由」の領域
4、「自分の家に帰る」ための半世紀

第2章 伝統的な景観と住環境
1、時を止めた鐘楼
2、戻ってきた幻の河

第3章 断ち切られる伝説
1、消えた竜の井戸
2、鄭和の庭

2部 胡同を旅する――老北京、記憶の断片

第4章 胡同の味
1、「小吃」が守る食の伝統
2、老北京の台所事情

第5章 趣味人たちの都
1、路地に響く美声
2、骨董の都の賑わい

第6章 華麗なる花柳界
1、色町の残り香――八大胡同
2、歴史を変えた名妓

第7章 裏世界をめぐる伝説
1、北京っ子のヒーロー、燕の李三
2、スパイたちの暗躍

第8章 古都の記憶
1、北京を鳥の目で見る
2、近代化の実験場、香廠
3、波乱万丈の百年、国子監街
4、氷と明かりの巨大な蔵

終章 消えゆくものを引き留められるか?
1、北京のNGO、文化財保護をめぐる攻防
2、記憶の集積、「老北京ネット」の奮闘
3、小さな流れが生む力

おわりに 老北京はどこへ行く

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〈読者からのお便り〉
・私は北京に十数年滞在したことがあり、懐かしく読みました。胡同について知らなかったことがたくさん記載されてあり、また分かりやすい地図も載っていて、たいへんよかったです。日中関係のものもこうした庶民の目線のものがもっと出版されるとよいなと思います。
・2009年にツアーで北京へ行きましたが胡同は人力車でチラッと走っただけでした。この本は新聞の読書の頁で見て、早速注文しました。写真はなつかしいような(自分の国ではないのに)胸をしめつけられるような感じがします。どうか多くの胡同が残りますように。又、北京へ行きたいと思います。行きたくなりました。(76歳・女性)

 

◇多田麻美(ただ・あさみ)
1973 年に大分県で生まれ、静岡県で育つ。京都大学卒業。京都大学大学院中国語学中国文学科博士前期課程を修了。北京外国語大学ロシア語学院にて2 年間留学。2000 年より北京在住。コミュニティ誌の編集者を経て、フリーランスのライター兼翻訳者に。主なテーマは北京の文化と現代アート。朝日新聞「海外通信」、NHK ラジオ中国語講座「まいにち中国語」巻末コラムなどを連載。共訳に『毛沢東 大躍進秘録』(楊継縄著、文藝春秋社、2012 年)、『9 人の隣人たちの声』(勉誠出版、2012 年)など。

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