耕治人
四六判 176頁
定価:1,650円(本体1,500円)
978-4-7949-6706-0 C0093 〔2007年〕
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妻が八百屋や魚屋に買ったものを忘れてくるようになった。それがはじまりだった。脳軟化症を病んだ妻、けんめいに介護する夫もガンにたおれる。貧窮と孤独のさなかで過酷な運命にさらされた老夫婦におとずれた至上の愛を描く。「天井から降る哀しい音」「どんなご縁で」そして感動の絶筆「そうかもしれない」にいたる不朽の名作3篇を収録。
〈書店員さんの声〉
とにかく物凄い本です。社会問題ともなっている老老介護がテーマなのですが、その描写は迫真に満ちています。刻々と老夫婦を蝕む病魔。容赦なく我が身を縛り付ける老衰。
そんな深刻な日常の中で気付かされる、いのちの尊さ。それを支える至上の夫婦愛。
これは決して他人事ではありません。誰でも避けては通れない生老病死に直面した切実な思いがこの一冊に凝縮されています。そしてタイトルの意味は絶筆でもあるラストに‥
18年ぶりにこの名作が復刊された意味をかみ締めながら、味わい深い文体をどうぞご堪能ください。(内田剛・評)