マリー・クヮントとミニスカート革命
マリー・クヮントは20世紀ファッションの革新者である。彼女の発信したミニスカートは服装史上まれに見る大ブームを引き起こしただけでなく、女性のふるまい方や考え方に深い影響を及ぼした。しかもそれは欧米諸国にとどまらず、ほぼ同時期に日本も含めた世界中に普及していく。時間的・場所的にこれほど爆発的に広がった流行現象はおそらく後にも先にも例がないだろう。 時代をスタイリングする ファッションデザイナーは時代の欲望を敏感に察知し、それに形を与えていくことが重要な仕事である。マリー・クヮントが作りだそうとしたのも新しい時代を生きる女性たちのスタイルだった。 アパレルデザイナーの先駆者 クヮントとシャネルの大きな違いは、だれに向けてデザインしていたかということにある。シャネルの顧客が上流階級の富裕な大人女性であったのに対し、クヮントは最初から一般の若い女性のために服作りをしていたのだ。60年代初頭、彼女は既製服のための会社ジンジャー・グループを設立しているが、アメリカのアパレル・メーカー、JCペニー社やピューリタン・ファッションズ社とも手を組んで、既製服デザインを提供するなど、当初から量産化時代を意識していた。 |
マリー・クヮント著 野沢佳織訳 |
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