〈韓国文学のオクリモノ〉
キム・エラン 著 古川綾子 訳
四六判並製 276頁
定価:1,980円(本体1,800円)
978-4-7949-6981-1 C0097 〔2017年12月〕
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80年生まれの著者が若くして文壇を席巻し、
同世代から圧倒的な共感を得たデビュー短編集
臨月の母を捨て出奔した父は、私の想像の中でひた走る。今まさに福岡を過ぎ、ボルネオ島を経て、スフィンクスの左足の甲を回り、エンパイア・ステート・ビルに立ち寄り、グアダラマ山脈を越えて、父は走る。蛍光ピンクのハーフパンツをはいて、やせ細った毛深い脚で――。
若くして国内の名だたる文学賞を軒並み受賞しているキム・エラン。韓国日報文学賞を歴代最年少で受賞した表題作や、第1回大山大学文学賞を受賞した「ノックしない家」など9編を収載したデビュー作、待望の邦訳。本国では累計8万部を記録。
韓国の若い作家を紹介するシリーズ〈韓国文学のオクリモノ〉第3回配本。
「この本は、こわばった表情で私があなたに送る、最初の微笑みです」
――キム・エラン
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【目次】
走れ、オヤジ殿
コンビニへ行く
ホッピング
彼女には眠れない理由がある
永遠の話者
愛の挨拶
海辺でやたらと花火を上げるのは誰だ
紙の魚
ノックしない家
1980年、韓国・仁川生まれ。韓国芸術総合学校演劇院劇作科卒業。在学中の2002年に短編「ノックしない家」で第1回大山大学文学賞を受賞。2005年に本書の表題作「走れ、オヤジ殿」で韓国日報文学賞を歴代最年少で受賞、その才能に注目が集まった。透明な感性とウィットに富んだ文体、清新な想像力で文壇の高い評価と同世代の読者からの圧倒的な共感を得ている。2013年に「沈黙の未来」で、韓国で最も権威あるとされる李箱文学賞を史上最年少で受賞。日本では2011年に発表した最初の長編小説『どきどき 僕の人生』(クオン)が翻訳出版され、さらなる邦訳が待たれていた。
翻訳者。神田外語大学韓国語学科卒業。延世大学校教育大学院韓国語教育科修了。第10回韓国文学翻訳院翻訳新人賞受賞。翻訳家養成講座と韓国語の講師も務める。訳書にウ・ソックン『降りられない船―セウォル号沈没事故からみた韓国』(クオン)、パク・ヒョンスク『アリストテレスのいる薬屋』(彩流社)、ユン・テホ『未生 ミセン』(講談社)など。