――食べるを語る、胃袋の戦後史
湯澤規子 著
四六判並製 344頁
定価:2,200円(本体2,000円)
978-4-7949-7079-4 C0021 〔2019年3月〕
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あなたに私の「食」の履歴を話したい
戦前・戦中・戦後を通して語り継がれた食と生活から見えてくる激動の時代とは。歴史学・地理学・社会学・文化人類学を横断しつつ、問いかける「胃袋の現代」論。
戦後史を「胃袋」から見ると、どのように見えるのだろうか。前作『胃袋の近代』で明らかにされた「記憶として個々人が抱えていたが、歴史化されてこなかった」出来事たちを、さらに現代に向かって証言・資料を基に丹念にとらえていく。「7袋のポテトチップス」が浮かび上がらせる、飽食・孤食・崩食を越えて「逢食」〔ほうしょく〕へ至る道すじとは。
「あなたに私の食の履歴を話したい」。『胃袋の近代』が刊行されて間もなく、読者の方から、そう声をかけられた。人はそれぞれ「食の履歴書」をもっている。「食物語(たべものがたり)」といってもよいかもしれない。そこには食をめぐる状況や経験や思い出などが含まれており、いわば人生の足あとが垣間見えることも多い。「食べるを語る」人びとのライフヒストリーに耳を傾けながら、胃袋・食・社会を巡る問いに答えうる「暮らしの戦後史」を描くことが本書の目的である。
――本文より
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【目次】
序章:食物語(たべものがたり)
1:あなたの胃袋誰のもの――胃袋の200年
2:空腹の記憶――戦争と飢え
3:生まれて初めて食べる味――戦後のをつくった食の経験
4:土と米と暮しの戦後史――高度経済成長期の食と農
5:一億総中流社会の憧れと胃袋――大量生産・大量消費時代の到来
6:消費者の誕生と食をめぐる意志――抵抗する胃袋
7:高度消費社会と胃袋のゆくえ
終章:胃袋から見た現代
あとがき
1974年、大阪府生まれ。1997年、筑波大学第一学群人文学類卒業。2003年、筑波大学大学院歴史・人類学研究科単位取得退学。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員(PD)を経て、明治大学経営学部専任講師。2011年より筑波大学生命環境系准教授。専攻は歴史地理学、村落社会学、農村社会学。著書に『在来産業と家族の地域史―ライフヒストリーからみた小規模家族経営と結城紬生産』(古今書院、2009)、『胃袋の近代』(名古屋大学出版会、2018)。