――分断を対話で乗り越える
松竹伸幸 著
四六判並製 256頁
定価:1,870円(本体1,700円)
978-4-7949-7277-4 C0031〔2021年10月〕
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九条の現実性と自衛隊の現実性にひとしく目配りをして、その共存の道を探る松竹さんのような人のことを、真のリアリストと呼ぶのだと思う。
──帯文・内田樹
世界中で分断と排外主義がはびこるいま、必要なのは、異論を認めたうえで対話を重ねる態度! 憲法九条を守りつつ、自衛隊の存在も肯定するという自身の立場から、歴史認識、自衛隊の海外派遣、慰安婦問題、拉致問題、核の抑止力……など意見が対立する数々の難題に対して、保守・リベラル双方の対話の場をつくってきた自称「超左翼おじさん」の著者が説く、共存の作法。
九条を大事だと思っている人も、自衛隊をリスペクトしている人も、あるいは改憲を求める人も、日本が平和な国であってほしいということは共通しているのである。『我、自衛隊を愛す 故に、憲法9条を守る』が出版された当時、日本と世界の現実が変化するなかで、これらの異なった考え方を結びつける条件、可能性が生まれていた。ところが現実は、お互いが相手を憎んでいるように見える。もっとお互いをよく知ろうではないか、異論は共存できるのだ、日本戦後史で最大の分断を乗りこえようと、私は訴えたかったのだ。(まえがきより)
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【目次】
まえがき
第一章 九条と自衛隊が共存する時代 改憲論議は終わった
1 安倍「加憲」案が頓挫したことの意味
2 専守防衛と九条が響きあう理由と背景
3 自衛隊の海外派遣も九条と合致する場合がある
第二章 左右が一致する防衛問題の政策と法律をつくる
1 「自衛隊を活かす会」の結成とその問題意識
2 新時代の専守防衛の神髄は核兵器抜きの抑止
3 国際刑事法典を日本で制定すべきである
第三章 歴史認識でも左右の対話と合意が不可欠な理由
1 慰安婦問題での左右の対話の経験と教訓
2 「日本会議」も対話の相手になるのではないか
3 大館市が保革ともに中国人犠牲者を慰霊する理由
終章 立場の違う人びとが対話するということ
1 拉致問題や福島の問題でも同じ試み
2 立場への共感以前に「心」の通い合いが大事だ
補章 産経新聞デジタルiRONNAへの投稿から
1 百田尚樹『日本国紀』を読む
2 共産主義国に生まれたら、「コミューン革命」をめざしていた
3 北朝鮮の核・ミサイル問題を解決する「最適解」は何か
あとがき
1955年長崎県生まれ。 ジャーナリスト・編集者、日本平和学会会員(専門は外交・安全保障)、自衛隊を活かす会(代表・柳澤協二)事務局長。一橋大学社会学部卒業。『改憲的護憲論』『〈全条項分析〉日米地位協定の真実』(共に集英社新書)、『9条が世界を変える』『「日本会議」史観の乗り越え方』(共にかもがわ出版)、『反戦の世界史』『「基地国家・日本」の形成と展開』(共に新日本出版社)、『憲法九条の軍事戦略』『集団的自衛権の深層』『対米従属の謎』(いずれも平凡社新書)、『慰安婦問題をこれで終わらせる。』(小学館)など著作多数。