――心も身体もままならないけど生きてます
尹雄大 著
四六判並製 192頁
定価:1,650円(本体1,500円)
978-4-7949-7299-6 C0095〔2022年3月〕
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ぎこちない、まとまらない、よそよそしい。
この「こころ」と「からだ」をどう生きるか。
内側にある「もう一人の自分」との出会い方。
自らの身体の層に宿る「さまざまな他者」との出会いがもたらすものとは……
親指が動かず、骨盤は曲がり、背骨がねじれ、強迫性衝動(未満)、自律神経失調(未満)、学習障害(未満)……等々。数えきれない「ままならなさ」を抱える著者による、当事者研究の新しい極北。
【名越康文氏(精神科医)、推薦!】
我々の心と意識と身体は、
実は別々のタップを踏み続けている。
足が絡まり転びそうになりながらも、
我々は人生という舞台で踊り続けるのだ。
普段見落とされている、
この生きづらさの本質を、
著者は活き活きと暴き出す。
このことが納得できるだけで、
どれだけ多くの人生が
救われることだろうか。
いつの頃からか両手の親指が「行方不明」になりがちだ。親指がつながっていない感じがあるため拳を握るのが難しい。感覚的にはみ出たまま、いつも熱を帯びている。動くときは引っかかる感じがする。ズレは親指に限らない。僕はいろいろと不具合を抱えている――この探求が僕と同様に困りごとを抱えている人の生きやすさにつながればいいなと思っている。(本書より)
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【目次】
第1章 バラバラにズレた心と身体のあいだ
「だって心がそうさせるだもん」
チックとお祓い
ナチスの行進
病を病んでいないことが最大の病
第2章 ズレているのにズレてはいけない奇妙な世界
「意識する」が現状にもたらしたこと
「小さく前へならえ」という謎の振る舞い
病を生きてしまわない
第3章 「 あいだ」からみた現実
白昼夢という現実もある
生きづらさの現実はどこに宿る
生きづらさの感覚のリアリティ
内観的な身体
第4章 身体観から現実を捉える
インクルーシブな社会を憂う
概念の外に出ることはできるのか
統合されることのない「あいだ」にある身体
痛みと苦はどこにある
親密さが積み上がらない
第5章 武術が教えてくれたこと:身体と現実の多層性
取り合わないコミュニケーションと身体の層
よそよそしいからこそ相手に触れられる
心眼があった時代の身体
腹と肚と胎
死もまたひとつの運動
他者の言葉を他者のこととして知る
1970年神戸市生まれ。インタビュアー&ライター。政財界人やアスリート、アーティストなど約1000人に取材し、その経験と様々な武術を稽古した体験をもとに身体論を展開している。主な著書に『異聞風土記』(晶文社)、『さよなら、男社会』(亜紀書房)、『モヤモヤの正体』(ミシマ社)、『体の知性を取り戻す』(講談社)、『脇道にそれる』(春秋社)など。