五十嵐太郎 著
A5判並製 272頁
定価:2,640円(本体2,400円)
978-4-7949-7323-8 C0052〔2022年7月〕
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戦争によって建築は
どう変容してきたか?
近代的な高層ビルが崩壊した9・11は、建築界でも大事件だった。その後のアフガン空爆、イラク戦争という大規模な破壊行為の一方で、大都市では防犯を名目にした管理態勢が水面下で整備されつつある。
この不穏な時代、建築と都市はどこへ向かうのか。そもそも、これらは戦争といかにかかわってきたのだろう。建築は常に戦争に巻き込まれてきた。ならば、破壊と再生・防御の歴史を見つめ直すことは、建築のまだ見ぬ可能性につながるはずだ。
ルネサンス要塞建築のデザイン。知恵を絞った第二次世界大戦下の建物偽装例。震災と空襲をへた東京の変貌。戦争による技術革新と、B・フラーやイームズ夫妻の関係。街頭の監視カメラと防犯事情に、オウム施設と朝鮮半島非武装地帯。そして、NYグランド・ゼロの開発……。
2003年に刊行され大きな話題を呼んだ1冊に、ウクライナ侵攻と9・11の受容についての新たな書き下ろし2篇を加えた増補版。
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【目次】
一章 戦時下の都市
前線都市
防空都市
二章 戦争とデザイン
直線か、曲線か――伊東忠太と岸田日出刀を中心に
空からのまなざし――視覚的無意識としての近代都市
技術の母としての戦争――フラーとイームズ
三章 日常におけるサバイバル
サバイバルのための東京リサイクル
反フラット建築論に抗して
再発見されたエレクトリック・ラビリンス
四章 テロリズムと恐怖の空間
セキュリティ戦争の都市
9・11がもたらしたもの――ミノル・ヤマサキの嘆き
忘却しないために――リベスキンドと希望の建築
増補
9/11メモリアル・ミュージアム――圧倒的な不在と膨大な情報を見る
ロシアのウクライナ侵攻を受けて、建築に何が可能か
アンバランスな時代の二一世紀型戦争
増補版あとがき――恐怖にとりつかれた都市
1967年パリ生まれ。東北大学大学院工学研究科教授。博士(工学)。建築史・建築批評。1992年東京大学大学院修了。ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展2008日本館コミッショナー、あいちトリエンナーレ2013芸術監督。 主な著作に『過防備都市』(中公新書ラクレ、2004年)、『建築の東京』(みすず書房、2020年)、『様式とかたちから建築を考える』(菅野裕子との共著、平凡社、2022年)がある。