自分のために料理を作る

――自炊からはじまる「ケア」の話

山口祐加 星野概念(対話に参加) 著
四六判並製 360頁
定価:1,870円(本体1,700円)
978-4-7949-7378-8 C0095 〔2023年8月〕


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「自分のために作る料理」が、
様々な悩みを解きほぐす。
その日々を追いかけた、
実践・料理ドキュメンタリー。

著者のもとに寄せられた「自分のために料理が作れない」人々の声。「誰かのためにだったら料理をつくれるけど、自分のためとなると面倒で、適当になってしまう」。そんな「自分のために料理ができない」と感じている世帯も年齢もばらばらな6名の参加者を、著者が3ヵ月間「自炊コーチ」! その後、精神科医の星野概念さんと共に、気持ちの変化や発見などについてインタビューすることで、「何が起こっているのか」が明らかになる――。「自分で料理して食べる」ことの実践法と、その「効用」を伝える、自炊をしながら健やかに暮らしたい人を応援する一冊。

【磯野真穂さん(文化人類学者)推薦!】
食べることは生きること。なのに、自分のための料理は億劫。それはなぜ? 料理を愛する著者が贈る、これまでにない料理本。

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【目次】

まえがき 料理は大変だと思っているあなたに

 

Stage1 料理の問題たち

1 料理についてこんがらがってしまっていること

「理想の家庭料理像」に押しつぶされそうになっていませんか?
食事は決めることが多すぎる
献立を立てるのは大仕事
気楽に料理がしたいと思いながらもできないのはなぜ?
誰も褒めてくれない問題/料理の面白さ、楽しさがいまいちわからない
家事をする元気がない
自分の料理に自信が持てない。おいしそうと思えない
料理上手のSNSがたまにしんどく感じられるのはなぜ?
料理と自尊心との密接な関わり

2 自分のために料理するのって難しい?

何のために料理するのか目的を絞ろう
自分を大事にするための料理
自炊は自分の帰る場所を作ること
世界でたった一人のオーダーメイドな料理人の誕生

 

Stage2 実践!自分のために料理を作る

01 土門さん第1回【30代・女性・執筆業】
料理とは何か/調理の基本/調味の基本/レシピを見ないでしょうが焼きを作る/新しいしょうが焼きにチャレンジする/まとめ

02 藤井さん第1回【30代・男性・会社員】
自炊のモチベーションの上げ方/トマトパスタを作っていく/料理は途中でやめたっていい/夕食はイベント化されすぎている?/包丁、まな板は使わずカレーを作る/食べることをもっと楽しもう

03 横山さん(仮名)第1回【30代・女性・会社員】
料理は体力のあるうちにやる/隙間時間の一手間が料理のハードルを下げる/食習慣を作る心を見つめてみる/料理は自分らしくなるレッスン/「世の中は壮大な役割分担」/疲れていると、料理はできない/豚汁の下ごしらえをする/豚汁の合間にカブサラダ作り/カブサラダが完成/味噌が溶き残ってもご愛嬌/ヘルシーな食事が自分で作れた


対話の時間を味わいたい――星野概念

01 土門さん第2回【30代・女性・執筆業】
おいしさの九割は安心感でできている/食べることに対して積極的になりました/きついダイエットをしていた一〇代、二〇代/料理は音楽と似ている/レシピの余白を読み解く/まとめ

02 藤井さん第2回【30代・男性・会社員】
目玉焼きで気分が上がるという気づき/料理で知りたいのはレシピだけじゃない/「小料理屋形式」のメリット/山口式スーパー改革案?/「自分のために料理ができない」とは/コンビニおにぎりは一点だけど袋麵は〇・五点/無限に語れる料理のあれこれ/自分を喜ばせて「大丈夫」を担保する

03 横山さん第2回【30代・女性・会社員】
一ヵ月でここまで変わった/気分の浮き沈みが激しいんです/気分の安定のために味わい始めました/料理は「今、ここ」に集中させてくれる/西洋医学ではわからない食のリアル/料理は無心になれる/長続きする幸せ

04 伊藤さん第2回【30代・女性・会社員】
料理は筋トレなんだな/仕事はできても料理ができない私/作る人が一番えらい/母の食卓の愛おしさとコンプレックスと/置いてきた宿題の解き方/評価されない、自分が満たされる世界/自分の身体にしたがい、知恵をつける/自分の「子ども」を解放しよう

05 小山田さん第2回【20代・女性・管理栄養士】
料理のプロなのに、料理ができない/優しさがプライベートを浸食してくるとき/自分を喜ばせられた幸せ/人間関係のトラウマが「合わせる私」を作っている/優しくておいしくて幸せ、でも食べたらなくなってしまう/続ける中でわかることがある/過程を「味わう」/「味わい」の喜びは背中で示す/今やっていることを感じる/「味わいアンテナ」を伸ばそう/試行錯誤こそが「味わい」

06 川崎さん第2回【50代・女性・販売員】
お弁当を買う日もあります/「料理のテトリス」/一人だとついおやつを食べてしまう/一人になった寂しさと自由さ/原発事故の爪痕とコロナ禍の家族の変化/火を使わない夏の料理が知りたい/川崎さんのお料理、食べてみたいな

 

Stage3 自分のために料理を作る7つのヒント

1 六名の参加者に三ヵ月間レッスンをしてみて

調理の「なぜ」がわかると、他の料理にも応用できる
億劫なことはやらなくていい
日々食べているものをもっと肯定しよう
自炊について話す機会の必要性

2 自分のために料理を作る七つのヒント

ヒント①:自分が食べたいものを作る
ヒント②:結果ではなく、プロセスに集中する
ヒント③:作った料理を細かく評価せず、やりすぎくらい自分を褒める
ヒント④:下手な自分を愛でる
ヒント⑤:他人と比べない
ヒント⑥:心の中の小さな自分に作ってあげる
ヒント⑦:環境を変える

あとがき 絶対に自炊して欲しい、なんて言えない

 

おまけ 本書で紹介したレシピ

しょうが焼き
ワンパンで作れる「トマトツナパスタ」
レンチンで作れる「シーフードカレー」
好きな野菜で作れる豚汁
カブの葉とじゃこの炒め物
カブとしらすのサラダ

 

◇山口祐加(やまぐち・ゆか)
自炊料理家。1992年、東京生まれ。7歳から料理に親しみ、料理の楽しさを広げるために料理初心者に向けた料理教室「自炊レッスン」や小学生向けの「オンライン子ども自炊レッスン」、レシピ製作、書籍執筆、音声メディアVoicyにて「山口祐加の旅と暮らしとごはん」を放送するなど幅広く活動を行う。著書に『週3レシピ 家ごはんはこれくらいがちょうどいい。(実業之日本社)』、『ちょっとのコツでけっこう幸せになる自炊生活(エクスナレッジ)』など。自炊レッスンや各種イベントのお知らせはTwitterやInstagramでお知らせします。
ID:yucca88(各SNS共通)
公式ホームページ:https://yukayamaguchi-cook.com/
◇星野概念(ほしの・がいねん)
1978年生まれ。精神科医など。医師としての仕事のかたわら、執筆や音楽活動を行う。著書に『こころをそのまま感じられたら』(講談社)、『ないようである、かもしれない』(ミシマ社)。共著に『ラブという薬』『自由というサプリ』(ともにいとうせいこう氏との共著、リトル・モア)がある。
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