能力主義をケアでほぐす

竹端寛 著
四六判並製 232頁
定価:1,870円(本体1,700円)
978-4-7949-7461-7 C0095〔2025年2月〕


アマゾンで購入する
楽天ブックスで購入する
セブンネットで購入する

 

能力主義のしがらみからいかに抜け出すか?
ケアから考える 家族、学校、社会、制度、
そして資本主義

竹端さんは正直な人である。
正直さは研究者にとって必須の知的資質である。
本書を読むと、正直さが知的離陸を可能にすることがわかる。
──帯文・内田樹

長らく成果主義と自己責任論の呪縛に苦しんできた著者が、自らの子育て体験を経てケアに目覚めた。その過程で読んできた本、出会ってきた人々とのエピソードで語る、ケア中心社会への見取り図となる思索エッセイ。
能力は個人に備わったものではなく、他者との関係性のなかで立ち上がるもの。能力主義の軋轢に対しては、ケアの精神でときほぐす!

“僕自身が「仕事中毒」だったときには、生産性至上主義の塊で、業績を出すことに強迫観念的に縛られていた。そのことに自覚的になったのも、家事育児に明け暮れた一日が終わって、「今日は何も出来ていない!」とため息をついている自分に気づいた時期からでした。そこから、自分を解放するためにも、少しずつ「能力主義批判」がはじまったのでした。”(「はじめに」より)

――――――――――――――――――――――――

【目次】

第1章 能力主義のなにが問題なのか?

学力偏重は「やめたくてもやめられない」アディクション

能力主義をいかに相対化するか

あなたはそのままで生きていい

信頼関係の基本はただ話を聞くこと

 

第2章 ケアについて考える

「弱さ」を基軸とした強いつながり

「交換」から「使用」への価値転換

ケアの世界は「巻き込まれてなんぼ」

「無力さ」でつながり直す面白さ

「決められた道」の外にある想像・創造力

 

第3章 家族がチームであること

第一優先は家族、第二優先が仕事

お父さん「も」支える言葉

家族丸抱えと社会的ネグレクト

子どもを中心にする視点

ケアを軸にした社会をどう生み出すか

「まっすぐなキュウリ」こそいびつなのだ

 

第4章 学校・制度・資本主義

資本主義経済の裏で隠されているもの

「平均の論理」は「社会的排除の論理」

「学力工場」と偏差値序列

チームがあれば孤独は乗り越えられる

隷従しない勇気と決意

シンバル猿にならないために

ゆたかなチームで生きていく

 

◇竹端 寛(たけばた・ひろし)
1975年京都市生まれ。兵庫県立大学環境人間学部教授。専門は福祉社会学、社会福祉学。著書に『「当たり前」をひっくり返す──バザーリア・ニィリエ・フレイレが奏でた「革命」』『権利擁護が支援を変える──セルフアドボカシーから虐待防止まで』『家族は他人、じゃあどうする?──子育ては親の育ち直し』(いずれも現代書館)、『枠組み外しの旅──「個性化」が変える福祉社会』(青灯社)、『ケアし、ケアされ生きていく』(ちくまプリマー新書)、共著に『手づくりのアジール』(晶文社)、『「これくらいできないと困るのはきみだよ」?』(東洋館出版社)などがある。
関連書籍