アドリエンヌ・リッチ 著 高橋茅香子 訳
四六判並製 536頁
定価:4,180円(本体3,800円)
978-4-7949-7464-8 C0398〔2025年3月〕
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創立65周年記念
アドリエンヌ・リッチ三部作、
待望の復刊!
1989~1990年にかけて小社より刊行されたアドリエンヌ・リッチ著『女から生まれる』『噓、秘密、沈黙。』『血、パン、詩。』
復刊を望む声が多く寄せられていた三部作をこの度、新たに解説を加え、新装版で復刊いたします。
今なお古びることがないリッチの力強い論考をこの機会に。
父権制によって形作られる「母性」を、
自身の体験を交えながらラディカルに解体する
70年代フェミニズム論の名著
地球上の人間はすべて女から生まれる――。そのことは、女を理想化し、母性神話をはびこらせる一方、女が自分自身の生き方を選択する自由を奪ってきた。男中心の社会のなかで、制度化された「母性」がかかえこむあらゆる問題を検討し、女のからだとこころを解放する視点をあきらかにする。三人の息子の母としての体験を問いなおし、歴史的文献を緻密に分析し、「あたらしい古典」としていまや世界中で大きなインパクトをもって読みつがれる、リッチのフェミニズム「母性論」の名著。
解説:小川公代
「私は『無条件』に愛することができるという母親のステレオタイプ化にうんざりしていた」(本文より)
「よくこう聞かれた。『お子さんについての詩は書かないのですか?』
私の世代の男性詩人たちは、自分の子供、とくに娘について詩を書いた。
私にとって詩は、私が誰の母親でもないところに、私が私自身であるところに存在する」(本文より)
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【目次】
はじめに
1 怒りと愛と
2「聖なる職業」
3 父親たちの王国
4 母親ー 至上なるもの
5 飼いならされた母性
6 人の手、鉄の手
7 疎外される出産
8 母親と息子、女と男
9 母であること、娘であること
10 暴力――闇をかかえる母性
おわりに
新版に寄せて――十年ののちに
訳者あとがき
訳者あとがき――新版に寄せて
解説 小川公代
原注
1929-2012年。ボルティモア生まれ。現代アメリカを代表する詩人、フェミニスト批評家。ハーバード大学ラドクリフ・カレッジ在学中に、詩集『世界の変化』(イエール青年詩人賞受賞)で詩人としてデビュー。60 年代初頭以降、母性、セクシュアリティ、人種差別、反ユダヤ主義、戦争などの問題を探求する詩や論考において、個人的なものと政治的なものを結びつけることにこだわった。ルース・リリー賞、全米図書賞、ラナン財団生涯功労賞、マッカーサー・フェローなど受賞多数。
1938年生まれ。東京外国語大学卒。朝日新聞社国際本部を経て翻訳家。訳書にクローディア・テイト編『黒人として女として作家として』(晶文社)、アリス・ウォーカー『メリディアン』(ちくま文庫)、チャンネ・リー『最後の場所で』『空高く』(いずれも新潮クレスト・ブックス)。著書に『英語で人生をひろげる本』(晶文社)、『英語となかよくなれる本』(文春文庫)など。
上智大学外国語学部教授。ケンブリッジ大学政治社会学部卒業。グラスゴー大学博士課程修了(Ph. D.)。専門は、ロマン主義文学、および医学史。著書に、『ケアの倫理とエンパワメント』『ケアする惑星』『翔ぶ女たち』(いずれも講談社)、『世界文学をケアで読み解く』(朝日新聞出版)、『ゴシックと身体――想像力と解放の英文学』(松柏社)、『感受性とジェンダ――〈共感〉の文化と近現代ヨーロッパ』(共編、水声社)、『ジェイン・ オースティン研究の今』(共著、彩流社)など。