新版 映画の構造分析

〈晶文社ライブラリー〉
内田樹
四六判並製 332頁
定価:2,420円(本体2,200円)
978-4-7949-7472-3 C0095 〔2025年5月13日発売予定〕


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映画に隠された驚くべき物語構造を読み解く、
スクリーンから学べる現代思想、精神分析、ジェンダー。
大幅増補の決定版映画論。

物語には構造があり、映画にも構造がある。そして映画の構造を知ることが、人間の欲望の構造を知ることにつながる……。『エイリアン』『大脱走』『裏窓』などハリウッド映画の名作を題材にした映画論にして、ラカンやフーコーなど現代思想の入門テキストとして高い評価を受けた旧版『映画の構造分析』に、『君たちはどう生きるか』『ドライブ・マイ・カー』『怪物』『福田村事件』など、近年の話題作を分析した論考を大幅増補した決定版映画論。〔2003年初版〕

解説=春日武彦(精神科医)

「あらゆる芸術作品は、それについて語られた言葉をも含めてはじめて「作品」として成立していると僕は思っています。僕たちは作品について語ることを通じて、作品にある種の「付加価値」を付与している。(…)だからこそ、美術批評とか文芸批評という分野が存在しているわけです。さまざまな芸術活動の中でも、とりわけ映画は批評の占める割合が多いと僕は思います。(…)集団の創造という点で映画に匹敵するジャンルはありません。」(「あとがき」より)

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【目次】

新版へのまえがき

まえがき

 

■第1章 映画の構造分析

0 物語と構造

1 テクストとしての映画

2 欠性的徴候

3 抑圧と分析的知性

4 「トラウマ」の物語

■第2章 「四人目の会席者」と「第四の壁」

■第3章 アメリカン・ミソジニー──女性嫌悪の映画史

■第4章 そして映画は続く

『ゴッドファーザー』と『北の国から』

『君たちはどう生きるか』をどう観るか

「父」からの離脱の方位──『1Q84』論

『ハナレイ・ベイ』のためのコメント

『ドライブ・マイ・カー』の独創性

『ノルウェイの森』の時代感覚

『ハウルの動く城』を観に行く

『怪物』について

『福田村事件』へのコメント

『愛の不時着』──男性目線と女性目線の交錯

『冬のソナタ』──予定調和的な宿命

『秋日和』──非婚は彼女たちの意思ではない

『精神0』──それに人間は抗うことができない

『演劇1』『演劇2』──演劇の平田オリザ、映画の想田和弘

『三島由紀夫VS東大全共闘』──政治の季節の予感

『プレシャス』──史上初の男性嫌悪映画

『バービー』──哲学的な映画

デヴィッド・リンチ追悼

 

オリジナル版のあとがき

新版のためのあとがき

解説 「お話を一つ思いつく」を巡って 春日武彦

 

◇内田樹(うちだ・たつる)
1950年東京都生まれ。神戸女学院大学名誉教授、神戸市で武道と哲学研究のための学塾凱風館を主催、合気道凱風館師範(合気道七段)。東京大学文学部仏文科卒、東京都立大学人文科学研究科博士課程中退。専門は20世紀フランス文学・哲学、武道論、教育論。 主著に『ためらいの倫理学』、『レヴィナスと愛の現象学』、『寝ながら学べる構造主義』、『先生はえらい』など。第六回小林秀雄賞(『私家版・ユダヤ文化論』)、2010年度新書大賞(『日本辺境論』)、第三回伊丹十三賞を受賞。近著に『日本型コミューン主義の擁護と顕彰──権藤成卿の人と思想』、『沈む祖国を救うには』、『知性について』など。